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物質世界への再訪(3) 「こころ」としての自覚(1)

誕生前後の記憶を、催眠を使って数多くの人々に思い出してもらい、詳細に分析したのが、北米出産前・周産期心理学協会副会長であったデーヴィッド・チェンバレン博士です。

例えば、チェンバレン博士の被験者の一人は、誕生直後の感情を、次のようにありありと
思い出しています。


この世界に腹が立って仕方がない理由はこうだ。

一人で内側にいたときには、何もかも私の望む通りだった。

だから、世界とはそんなものだと思っていた。

外の世界のことも知らない訳ではなかったけど、人間については何も思って
いなかった。

だって、どのみち外側の住人で、あまり問題じゃなかったから。


ところが出てきてみると、この世界にすごく腹がたった。

全く歯が立たなかったから。

一生懸命やってみても、誰も私に注目してくれなかった。

私のことを一番知っているのはこの私だと思っていたから、ますます腹が立って
仕方がなかった。


私は自分が何でも知っていて、何でも判ると思っていたし、実際よく知っていた。

自分を人間であるというよりも、『こころ』そのものだと、何でも知っている賢い
『こころ』そのものだと思っていた。

だから無理やり勝手なことをされると、とても腹がたった


この被験者が「こころ」と読んでいるのが、私の言う「意識体」であり、私たち本来の姿
です。

赤ちゃんの時には、まだ物質的な脳が未発達であり、人間としての脳の自意識(脳意識)が乏しいので、自分が「こころ」(意識体)そのものだと感じているのです。


やがて、肉体的な「脳」の方が発達して意識をしっかり持ち始めると、「私たち本来の姿である意識体」と、「肉体的な脳の自意識」(脳意識)とが共存・融合するようになり、やがて意識のうえでは、両者の境界が判らなくなります。


通常は、肉体的な脳意識が「顕在意識」(意識のうちに自分で自覚している部分)の大半を占めてしまい、生まれる前から存在していた意識体としての感覚は、潜在意識(意識のうち自分で自覚していない部分)の中へと追いやられていきます。


それでも、私たちのトランスパーソナルな(個人を超えた)能力・感覚は、本来の姿である意識体の方が、潜在意識の中で常に発揮し続けているため、人間は誰でも多かれ少なかれ、トランス・パーソナルな能力・感覚を持っているのです。



飯田史彦 研究室へ ようこそ!(福島大学経済経営学類 教授)


【あとがき】

肉体的な脳が未熟な赤ちゃんも、意識体としては、大人と同じくらい立派に「思考」している、ということには驚かされます。

あかちゃんが泣くのは、自分の思い通りにならない、苛立ちから泣くのかも知れません。

お母さんの力を借りないと何一つできない、きっとその非常な不自由さを感じているので
しょう。


考えてみれば、私たちは凄いリスクを負って、この世界に生を受けてるいるものだと思います。

この世に生を受けた時は、何でも知っている意識体。

その意識は潜在意識の奥にしまわれてしまい、一から学び始めるのですから。


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    私のことを一番知っているのはこの私だと思っていたから、ますます腹が
    立って仕方がなかった。

    私は自分が何でも知っていて、何でも判ると思っていたし、実際よく知って
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