人生の自己評価(5) 人間関係の因果応報

メルヴィン・モース博士に(ワシントン大学教授)の調査によると、23歳で臨死体験をした
ある女性は、このように回想します。


「光の存在は私を包み込み、私の人生を見せてくれました。これまでにしてきたことを全て見て、反省する訳です。なかには見たくないこともありますが、終わったことだと思えば、
かえってほっとします。


特に覚えているのは、子供の頃に、妹のイースター・バスケットを横取りしてしまったこと
です。その中のおもちゃが欲しかったものですから。でも、あの回想の時には、妹の失望や悔しさを、まるで自分の事のように感じました。私が傷付けていたのは自分自身であり、喜ばせてあげていたのも、また自分自身だったのです


また、ある女性は、「人間関係の波及効果」、或いは「自業自得の原則」ともいうべき仕組みについて、貴重な教訓を見せられたそうです。


そこには、人を傷付けてばかりいた私の姿がありました。そして、私を傷付けた
人たちが、今度は別の人を同じように傷付けている姿がありました。


この被害者の連鎖は、ドミノ倒しのように続いていって、また振り出しに戻ってくるのです。

そして最後のドミノは、もともとの加害者である私だったのです。

ドミノの波は、向こうへ行ったかと思うと、また戻ってきます。

思わぬところで、思わぬ人を私は苦しめていました。心の痛みが耐えられないほど大きく
なっていきました」


この証言は、人生という学びの機会を通じて、いわゆる「因果応報」の法則が働いていることを示しています。

つまり、

「自分が誰かを傷付けると、いつか必ず、自分も誰かから同じくらい傷付けられ、
逆に自分が助けてあげると、いつか必ず、自分も誰かから同じように助けてもらえる」


という法則です。


必ずしも、自分が傷付けたり助けたりした同じ相手から返ってくる訳でなく、一見すると全然無関係の人から返ってくることも多いものの、それでも目に見えないところで深くつながっています。

また、自分の言動がすぐに返って来る訳ではなく、数日後、数週間後、数ヵ月後になったり、もしかすると数年後、数十年後になるかも知れないものの、いつか必ず自分に跳ね返ってきます。


判りやすく言えば、自分が行った「善行」(貯金)や「悪行」(借金)が、宇宙の法則
(銀行)において管理されており、困った時には自動的に貯金が引き出される一方で、借金はいつか厳しく取り立てられるのだ
、と説明することができるでしょう。


このような仕組みを理解すれば、正しく生きるための単純明快な方法が、浮かび上がってきます。それは、ただ一言、

自分が出したものが返ってくるのだから、 自分が返してもらいたいものだけを
出し、返して欲しくないものは出さないようにすれば良いのだ


ということです。


なかには、自らが臨死体験を経験し、それを公言している医師もいます。スウェーデンの
大きな大学病院の講師であり医師である、ゴーレン・グリップ博士がその人です。


グリップ博士は、5歳の時に外科手術を受け、その最中に呼吸困難を起こしました。手術台の上に横たわったままで、彼は目の前に広がる道と、そこにいる光の存在を発見します。その存在から強い愛が発せられているのを感じ、それまでの五年間という短い人生が
目の前に再現されたのだそうです。その時のことを、グリップ博士は、このように証言しています。


「それまでの人生で起こったことを、すべて再体験し、光の存在と一緒に見ていたのです。ほとんどは、私と、私の嫉妬の的だった弟に関する出来事でした。私たち二人の感情のやりとり、例えば弟への嫉妬、私が弟をなぐった時の私の得意気な気持ちや、理由もなくなぐられた弟の驚きと怒り、そして私をなぐり返した時の弟の勝利感などで
した。


また、私が親切なことをしてあげた場面では、弟に対する愛情、弟の驚きと幸福感なども感じました。そして、自分の行動がもたらす結果を、思い知りました。それまでの人生を、都合よく解釈したり悪い方に考えたりしないで、ありのままに直視することの
できる強さをくれたのは、光の存在から発する愛だったのです。」


何と、たった五歳の子供であっても、終えかけていた五年間の人生を、
全て見せられて反省を求められたのです。


そして、この時に、光の存在が与えてくれた、「愛」と「与える心」こそが大切だという
メッセージが、当時のグリップ少年に、「医者になろう」と決心させたのだそうです。グリップ博士は、この様な自分の臨死体験について、次のように語っています。

「大切なのは、私は、この経験を通じて、生きていくことの意味を理解したということです」



飯田史彦 研究室へ ようこそ!(福島大学経済経営学類 教授)

  

<< 前のページ

次のページ >>

関連ページ

  • 人生の自己評価(1) 人生のパノラマビジョン

    いわゆる「地獄」という世界が存在するわけではありませんが、死後に、各人にとっての「地獄」があるとすれば、それは、反省のために自分自身の人生を振り返る瞬間の心の状態のことです。

    指導役の意識体たちは、今終えてきたばかりの人生を回顧するようにうながし、目の前でパノラマのように、その一生のビジョンを見せてくれます。

    そのビジョンを見ながら、終えてきた人生における後悔や罪悪感、自責の念が、心の底からわき上がってくるのです。


  • 人生の自己評価(2) どれだけ人を愛したか

    退行催眠の被験者や臨死体験者の証言によると、私たちの誰もが、人生を
    再現するビジョンを見せられながら、終えてきた人生における全ての言動の
    説明を求められます。

    そして、そこで問題とされるのは、私たち一人一人の誠実さ、道徳性のみだ
    そうです。


    言い換えれば、例えば有名な大スターや、大企業の社長や、総理大臣になったとしても、その人生で多くの人を裏切り、傷付けてしまった場合には、悶え苦しみながら深く反省することになります。


  • 人生の自己評価(3) 悲痛と恥の涙

    「光の存在が私を包み込むと、私の全人生の回想が始まった。ダムが崩壊し、脳裏にしまいこまれていた記憶が、全部あふれ出したような感じだった。この人生の回想は、楽しいものとは言えなかった。はじめから終わりまで、私は
    胸の悪くなるような現実を突きつけられることになった。私は、実に嫌な人間
    だった。利己的で、意地の悪い男だった。」


  • 人生の自己評価(4) 終えた人生の回想

    更に、ベトナム戦争に参加して、敵兵を射殺した場面を次々と思い出した彼は、その時の心境をこう語っています。

    「私は引き金を引き、ライフルの反動を身体に受けた。一瞬、間をおいてから、彼の頭が吹き飛び、その身体ががっくりと倒れこんだ。当時、私が実際に目にした光景は、そういうものだった。

    ところが、回想した時は、私はその北ベトナムの大佐の視点から、この事件を体験していた。

    彼が受けたはずの身体の痛みは感じなかったが、自分の頭がふき飛ばされた時の彼の混乱と、身体を離れ、もう二度と家に帰れないだろうと気づいた時の、彼の悲しみを感じ取った。

    そして、感情の連鎖反応が起こり、一家の働き手を失ったと知った時の、彼の家族の悲痛までもが伝わってきたのだ


    しかも、自分が直接に手を下したわけでもなく、自分が輸送した武器によって多くのベトナム人が殺される光景や、父親が殺されたと知って泣き叫ぶ子供
    たちの姿を、徹底的に「光の存在」から見せられます。


  • 人生の自己評価(5) 人間関係の因果応報

    この証言は、人生という学びの機会を通じて、いわゆる「因果応報」の法則が働いていることを示しています。

    つまり、

    「自分が誰かを傷付けると、いつか必ず、自分も誰かから同じくらい傷付けられ、逆に自分が助けてあげると、いつか必ず、自分も誰かから同じように助けてもらえる」

    という法則です。


    必ずしも、自分が傷付けたり助けたりした同じ相手から返ってくる訳でなく、
    一見すると全然無関係の人から返ってくることも多いものの、それでも目に
    見えないところで深くつながっています。