人生の仕組み(1) 「意識体」としての自覚
私たちは、どのようにして「死」を迎え、どのようにして、また生れてくるのでしょうか。本章では、驚くべきしかし心洗われるような「人生のしくみ」を、様々な科学的研究の成果に基づいて、整理・統合してみましょう。
〈1〉「意識体」としての自覚
ジョエル・L・ホイットン博士(トロント大学医学部精神科主任教授)が、偶然に「中間生」(人生と人生との間の生、俗に言う「あの世」の存在を発見したのは、ポーラ・コンシディンという四十二歳の女性に、退行催眠を行っている時のことでした。
ポーラは、安定した気質の持ち主で、深い催眠に入ることができ、暮らし方や趣味、行動などもごく普通の、北アメリカの典型的な主婦でした。彼女は、ホイットン博士から通算百時間以上にのぼる 退行催眠を受け、自分の長い生まれ変わりの歴史を、整然と物語りました。
ポーラの口から語られた過去生をたどっていくと、古代エジプトの奴隷の娘として生きた時にまで遡りましたが、殆どが女性としての人生でした。
例えば、「テルマ」という名前の人生では、ジンギスカン時代のモンゴルの族長の娘でしたが、十六歳の時に、戦いで殺されました。
また、1241年に34歳だった「オーガスタ・セシリア」という名前の人生では、一生の殆どを
スペインとの国境近くのポルトガルの孤児院で過ごした尼僧でした。
さらに、1707年に17歳だった「マーガレット・キャンベル」という名前の人生では、カナダの
ケベック州近郊に住み、のちに毛皮を商う猟師と結婚しました。
そして、ポーラが、1822年にアメリカのメリーランド州の農場で生まれ、若くして農家の階段から転落して死んだ「マーサ・ペイン」という名前の娘であった人生を思い出していた時の
ことです。
ホイットン博士は、何気なく、「あなたがマーサ・ペインとして生れる前に戻ってください」と指示してみました。しかし、正しくは「マーサ・ペインとして生れる前の人物に戻ってください」と指示するべきだったのです。「生れる前に戻ってください」と、間違った指示を受けたポーラは、突然、こう語り始めたのです。
「私は……空の……上にいます。農場の家や納屋が見え……朝早くて
……太陽は昇り始めたばかり……。刈り取りを終えた畑は、真っ赤に
……真っ赤に染まって……長い影ができています……」
ポーラが、「空の上」などにいるはずがありません。うろたえたホイットン博士は、途方にくれて、さらにたずねてみました。
「あなたは、空の上で、一体何をしているのですか」
「私は……生れるの……を待っています。お母さんのすることを……見ているところです。」
「お母さんは、どこにいるのですか」
「お母さんは……ポンプの所で……バケツに水を入れています。とても、大変そう」
「なぜ、大変なのですか」
「私の身体の重みで……おなかに気をつけて、と、お母さんに言ってあげたい……
母体のためにも、私のためにも…」
「あなたの名前は?」
「名前は……まだ、ありません……」
このように、自分が身体の上空に浮かんでいるという記憶を持つ被験者は、今ではあたり前のこととして、多くの研究者から報告されてます。
さらに、たとえ、死後にも自分の意識があることを信じていない人であっても、催眠状態では、次のような「過去の人生での死の記憶」を思い出します。
〈被験者は、死後の世界の存在については疑っており、死の恐怖に苦しんでいる〉
D あなたが死んだ時に進みましょう。
C 自分が死にかけているのが、わかっています。覚悟はできている
んです。もう六十六歳ですから。うちは長生きの家系ではないんです。髪はもう真っ白。
未練はありません。
D 恐ろしくはありませんか?
C いいえ。少しも恐ろしいとは思いません。いい人生でした。
D 死因は何ですか?
C 老衰です。体はぼろぼろで……手も足も、ろくに動かせません。
ハーマンはまだ健在で、死にかけた私のそばで、嘆き悲しんでいます。
子供たちは着ていません。
D 死の瞬間について話してください。
C 私は体を離れて、上に昇っていきました。遺体が見えます。
上の方から、自分の肉体を見下ろしているのです。
明け方でした。ハーマンが、私の死に気づきました。
D それからどうなりましたか?
C しばらく、あたりをさまよっていました。それから、空に昇って いって、そこで誰かに
会いました。私を守ってくれる存在のような お方かしら。別の世界からやってきた
その存在は、私に、行くべき 方向を示してくれました。
その存在は、言葉を使わないで、私に語りかけるのです。
とても安心できました。
別の世界に行けて、よかったわ。
とっても平和で美しいところなんです。
真っ青な、光あふれる世界。
地球とそっくりでいながら、全く違う、不思議な世界。
私は、いままでの肉体とは違う形態を身につけています……
そう、それはエネルギーの形態、
各人が固有に持つエネルギーの形態なのです……
だから、ここでもその形態は一人一人違っています……
エネルギーは、拡散してしまうことはありません……
一つの源から放射される、各人それぞれの個性を持ったエネルギーです。
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- 人生の仕組み(1) 「意識体」としての自覚
その存在は、言葉を使わないで、私に語りかけるのです。
とても安心できました。
別の世界に行けて、よかったわ。
とっても平和で美しいところなんです。
真っ青な、光あふれる世界。
地球とそっくりでいながら、全く違う、不思議な世界。
私は、いままでの肉体とは違う形態を身につけています……
そう、それはエネルギーの形態、
各人が固有に持つエネルギーの形態なのです……
だから、ここでもその形態は一人一人違っています……
エネルギーは、拡散してしまうことはありません……
一つの源から放射される、各人それぞれの個性を持ったエネルギーです。 - 人生の仕組み(2) 「死ぬ」という体験
退行催眠によって思い出す記憶には、胎児の中に宿る前に、自分が肉体を
持たない「意識体」として覚醒していた(つまり、生れる前にも意識体として生きていた)という記憶が含まれており、人間として生れてきた仕組みについての証言が出てきます。
それらの証言は、思想や宗教を超えて基本的に同じ仕組みを描写しており、本人が信じているかどうかにかかわらず、国籍・性別・年齢を超えて共通しています。催眠状態では、自分が信じている宗教の教義とは異なる内容を答えたり、無宗教・唯物論・無神論を唱える人であっても、自分が「意識体」として存在していた記憶を思い出すのです。
- 『死ぬということは、体から離なれて生きること』
面白いことに、私達は、自分の遺体や通夜や葬式を見下ろしながら、かなり冷静な気持ちでいることができる様です。死の瞬間には、自分が肉体から離れて上空に浮かんでいることに気づくとと同時に、それにもかかわらず、「自意識として覚醒している」という感覚があることに驚きます。
なぜなら、「自分は死んだはずなのに、まだ生きている」という現象を体験することになるとは、予想していなかったからです。しかし、やがて、「な〜んだ、
死ぬということは、体から離なれて生きるということに すぎないんだな」と、死という現象が「通過点」にすぎないことに気づいていくのです。 - 「死後世界」の光景
「死後世界」の光景その際に見る光景は、光のドームに入ったり、すばらしい色彩を見たり、美しい音楽を聴いたり、たいまつを持った人物が迎えてくれるなど、様々です。
信じている宗教の教祖が両手を広げて出迎えてくれたり、宮殿や庭園のような
ビジョン(幻影)を見る者もいます。
これらは、勿論現実の場所や物質ではなく、本人にとっての「死後の世界」のイメージがシンボル化された「幻像」にすぎません。
- 愛する故人たちとの再会
キューブラー=ロス博士によると、この現象を実に多くの人々が経験していると言います。何千マイルも遠くに住んでいたはずの人が、突然、目の前に姿を現します。すると、翌日になって、前日の姿を現した人が亡くなったという知らせが、電話や電報で届くのです。
- 死後の世界でのコミュニケーション(1)
それは、「思いが通じ合うといえばいいのかしら」という表現で描写されていますが、この表現こそが、私たちが本来、「トランスパーソナルな存在」(自己を超えてつながりあっている存在)だということを、如実に示していると
いえるでしょう。
つまり、もともとトランスパーソナルな存在である私たちは、この物質界を訪れて一つの肉体に入った後でも、肉体的な制限を受けながらも、やはりトランスパーソナルな存在として、心の奥ではつながり合っているというわけです。 - 死後の世界でのコミュニケーション(2)
C もう自分の体にはとどまるのはやめようと決心した時、体が光で満たされたような感じがしました。自分が輝きだして、肉体を離れると、そこには先立っていた姉が待っていました。姉は、「怖がらなくてもいいのよ」と言いました。
「怖くないわ」と、私は答えました。
とっても平和な気持ちで、あの激痛が嘘のようです。私は、姉があんまり穏やかなので、ちょっと驚きました。 - 家族たちを見守る
この証言の特徴は、死を自覚した後に、娘を生前に十分に愛してやらなかった自分の過ちに気づき、「今からでも飛んでいって謝ろう」と思っていることです。
このように、人生を終えてから初めて「愛」の大切さに気づく人が多く、十分に愛してあげなかった人々への罪悪感から、その人たちへの罪滅ぼしの意味も込めて、その後の人生を見守って助けようとすることが少なくないようです。 - たとえ死んでも、つながっている
主人が大きい心臓発作を起こして入院したんです。私は家に帰ったあと、一人で居間に座り込んでしまいました。午前一時十六分でした。その時、頭の中でふいに主人の声がしたんです。とてもはっきり聞こえました。
「私はいかなきゃならん。他の仕事をしなければならんのでな。地上での私の仕事は終わったんだ。だが、君の仕事はまだ終わっていなぞ」